失業保険(雇用保険)

失業保険中に再就職が決まったら?再就職手当の条件と期限

失業保険中に再就職が決まったら?再就職手当の条件と期限

失業保険(雇用保険の基本手当)を受給している期間中に再就職が決まった場合、そのまま基本手当を受け取り続けることはできなくなります。しかし、早期に再就職を果たした受給者の皆さんを支援するため、一定の条件を満たすことで「再就職手当」をはじめとする就業促進手当を受け取れる制度が用意されています。

本記事では、失業保険の受給中に再就職が決まった際に行うべきハローワークでの手続きの流れや、再就職手当を受給するための具体的な条件、給付金額の計算方法などについて、実務レベルで詳しく解説します。

失業保険の受給中に再就職が決まったら?制度の概要

失業保険は、失業中の生活を保障し、1日でも早い再就職を支援するための制度です。そのため、再就職が決まり働き始めることになると、就職日の前日をもって基本手当の支給は終了となります。

一方で、失業保険を長く受け取るために就職活動を先延ばしにする事態を防ぎ、早期の再就職を促進する目的で設けられているのが「就業促進手当」という制度です。この制度の代表的なものが「再就職手当」であり、失業保険の支給日数を一定以上残して安定した職業に就いた場合に、受け取れなかった基本手当の一部が一括で支給されます。

再就職手当のほかにも、再就職先での賃金が前職よりも下がった場合を支援する「就業促進定着手当」や、パートタイムなど再就職手当の対象とならない形態で就業した場合の「就業手当」など、状況に応じた複数の支援制度が存在します。これらの制度を正しく理解し、期限内に適切な手続きを行うことが非常に重要です。

申請窓口と再就職が決まったときの手続きの流れ

再就職が決まった場合、まずは管轄のハローワーク(公共職業安定所)の雇用保険給付窓口へ届け出る必要があります。手続きには期限が設けられており、順序を守って進めることが求められます。具体的な手続きの流れは以下の通りです。

1. 再就職先へ採用証明書の記入を依頼する
再就職が決まったら、まずは「採用証明書」を用意します。この書類は、受給資格決定時にハローワークから渡される「雇用保険受給資格者のしおり」に同封されているほか、ハローワークの公式ホームページからダウンロードすることも可能です。この用紙を再就職先の企業に提出し、採用日や雇用形態などの必要事項を記入・押印してもらいます。

2. 就職日の前日までにハローワークへ申告する
再就職して働き始める日の前日までに、ハローワークへ赴き就職の申告を行います。もし就職日の前日が土曜日、日曜日、祝日などハローワークの閉庁日にあたる場合は、その直前の開庁日(金曜日など)に来所して手続きを行う必要があります。

3. 最後の失業認定を受ける
就職の申告に訪れた際、前回の認定日から就職日の前日までの期間についての失業認定を受けます。この手続きにより、就職日前日までの日数分の基本手当が後日振り込まれます。

4. 再就職手当の支給申請を行う(就職後)
就職の申告を行った際、再就職手当の受給要件を満たす可能性がある方には「再就職手当支給申請書」が交付されます。就職後、この申請書に再就職先の事業主から証明を受け、必要書類とともにハローワークへ提出します。

手続きに必要な主な書類は以下の通りです。
・雇用保険受給資格者証
・失業認定申告書
・採用証明書(再就職先が記入したもの)
・再就職手当支給申請書(就職後に提出)
・その他、ハローワークが指定する書類(タイムカードの写しや雇用契約書などが必要になる場合があります)

再就職手当の申請期限は、原則として「就職した日の翌日から起算して1カ月以内」と定められています。期限を過ぎてしまうと受給できなくなる可能性があるため、速やかに手続きを進めることが大切です。

再就職手当(就業促進手当)の対象となる条件

再就職手当を受け取るためには、厚生労働省が定める複数の条件をすべて満たす必要があります。対象者の条件は以下の通りです。

・7日間の待期期間を満了した後に就職したこと
ハローワークで受給資格の決定を受けた日から、失業の状態が通算して7日間経過する期間を「待期期間」と呼びます。この期間中に就職やアルバイトをした場合は、再就職手当の対象外となります。

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること
就職日の前日時点での基本手当の残り日数が、本来受け取れる総日数(所定給付日数)の3分の1以上残っている必要があります。

・1年を超えて勤務することが確実であること
雇用期間の定めがない正社員としての就職や、契約期間があっても更新により1年を超えて雇用されることが確実であると認められる必要があります。派遣社員や契約社員の場合でも、この条件を満たせば対象となります。

・離職前の事業主や関連会社への再就職ではないこと
退職した会社に再雇用された場合や、資本・資金・人事・取引などの面で密接な関わりがある関連企業へ就職した場合は対象外となります。

・過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
過去の離職に伴う失業保険の受給において、就職日の前日から過去3年以内にこれらの手当を受け取っている場合は対象外です。

・受給資格決定前に採用が内定していないこと
ハローワークで失業保険の申請を行う前に、すでに再就職先から内定をもらっていた場合は、失業状態とは認められず手当の対象外となります。

・原則として雇用保険の被保険者となる条件での就職であること
週の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあるなど、雇用保険の加入条件を満たす就職であることが求められます。

自己都合退職と会社都合退職による条件の違い

離職の理由が「自己都合」であるか「会社都合」であるかによって、失業保険の給付制限の有無が異なり、それに伴って再就職手当の受給条件にも違いが生じます。

倒産や解雇などの「会社都合退職(特定受給資格者など)」の場合、7日間の待期期間を満了すれば、すぐに基本手当の支給対象となります。そのため、待期期間経過後であれば、どのような経路(ハローワーク、民間の転職エージェント、知人の紹介、直接応募など)で就職を決めても、再就職手当の対象となります。

一方で、「自己都合退職(一般の離職者など)」の場合、7日間の待期期間に加えて、原則として2カ月間(離職理由や過去の離職歴によっては3カ月間)の「給付制限期間」が設けられます。この給付制限期間がある方については、再就職手当の受給に関して特別な条件が追加されます。

具体的には、待期期間満了後、給付制限期間の「最初の1カ月間」に就職が決まった場合、ハローワークまたは厚生労働省の許可・届け出のある職業紹介事業者(転職エージェントなど)の紹介による就職でなければ、再就職手当の対象になりません。知人の紹介や、企業への直接応募(企業の採用ホームページからの応募など)、求人広告誌を見て自分で応募した場合は対象外となってしまいます。

給付制限期間の最初の1カ月が経過した後の期間であれば、自己開拓による就職(直接応募や知人の紹介など)であっても再就職手当の対象となります。自己都合退職の方は、就職が決まった時期と応募経路に十分注意する必要があります。

再就職手当の給付内容と具体的な計算方法

再就職手当の支給金額は、基本手当の支給残日数によって給付率が変わります。早期に就職を決めて支給残日数が多いほど、給付率が高くなる仕組みです。厚生労働省の規定に基づく計算式は以下の通りです。

支給金額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60%または70%)

・給付率が70%になる場合
就職日の前日時点での支給残日数が、所定給付日数の「3分の2以上」残っている場合。

・給付率が60%になる場合
就職日の前日時点での支給残日数が、所定給付日数の「3分の1以上」残っている場合。

【計算の具体例】
所定給付日数が90日、基本手当日額が5,000円の方が、支給残日数を60日残して就職した場合を想定します。
支給残日数60日は、所定給付日数90日の3分の2以上(60日以上)に該当するため、給付率は70%となります。
計算式:5,000円 × 60日 × 70% = 210,000円
この場合、210,000円が再就職手当として一括支給されます。

なお、再就職手当の計算に用いられる「基本手当日額」には上限額が設定されています。この上限額は、離職時の年齢区分に応じて異なり、毎年8月1日に改定される仕組みとなっています。ご自身の正確な基本手当日額や上限額の適用については、雇用保険受給資格者証を確認するか、ハローワークの窓口で確認してください。

再就職に伴うその他の支援制度(就業促進定着手当など)

再就職手当の対象とならない場合や、再就職後の賃金が下がってしまった場合など、状況に応じて利用できるその他の支援制度についても解説します。

1. 就業促進定着手当
再就職手当を受給した方で、再就職先での6カ月間の賃金(1日あたりの金額)が、離職前の賃金日額を下回っている場合に支給される手当です。再就職先で6カ月以上継続して雇用され、雇用保険の被保険者となっていることが条件です。
支給金額は、「(離職前の賃金日額 - 再就職後の賃金日額)× 再就職後6カ月間の賃金の支払基礎となった日数」で計算されます。ただし、支給額には上限があります。申請は、再就職した日から6カ月が経過した日の翌日から2カ月以内に行う必要があります。

2. 就業手当
再就職手当の対象とならない形態、例えば1年未満の契約期間であるアルバイトやパートタイムなどで就業した場合に支給される手当です。支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残っていることが条件となります。支給金額は「就業日 × 基本手当日額 × 30%」で計算されます。

3. 自営業を開始した場合の特例
企業に就職するのではなく、自営業を開始(個人事業主としての開業や会社設立など)した場合でも、一定の要件を満たすことで再就職手当の対象となります。ただし、待期期間(7日間)を満了した後に事業を開始するための準備行為等を行っていることが必要です。また、自己都合退職などで給付制限がある場合は、待期期間満了後、給付制限期間の最初の1カ月間が経過した後から準備等を開始したものが対象となります。事業の開始を証明する書類(開業届や登記簿謄本など)の提出が求められます。

手続きにおける注意点

再就職に伴う手続きを円滑に進め、確実に手当を受給するために、以下の注意点を整理しておきます。

・採用証明書の手配は早めに行う
再就職先の企業によっては、採用証明書の記入・押印に数日かかる場合があります。内定が出た段階で、企業の担当者へ早めに依頼しておくことをお勧めします。

・再就職手当支給申請書の事業主証明が必要
就職後に提出する再就職手当支給申請書にも、再就職先の事業主による証明欄があります。就職先の労務・人事担当者に事情を説明し、速やかに対応してもらえるよう依頼してください。

・申請期限の厳守
再就職手当の申請期限は就職日の翌日から1カ月以内です。仕事が忙しくなり手続きを忘れてしまうケースが見受けられますので、就職後速やかにハローワークへ郵送または持参で提出してください。

・早期に退職してしまった場合の扱い
再就職手当を受給した後に、何らかの事情で短期間のうちに退職してしまった場合、残りの支給残日数から再就職手当として支給された日数分を差し引いた日数分について、再度基本手当を受給できる可能性があります。ただし、受給期間(原則として離職日の翌日から1年間)内であることが条件となりますので、早めにハローワークへ相談してください。

失業保険や就業促進手当の制度は、法改正などにより要件や給付率、上限額などが変更される可能性があります。本記事に記載している内容は執筆時点の一般的な原則に基づいています。個別の状況による適用条件の判断や、最新情報については厚生労働省やハローワーク公式で確認してください。