失業保険(雇用保険)

失業保険の申請でハローワークは何する?手続きと期限とは

失業保険の申請でハローワークは何する?手続きと期限とは

失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、会社を退職した方が次の仕事を見つけるまでの間、経済的な不安を感じることなく求職活動に専念できるよう、生活費の一部を支援する公的な制度です。この制度を利用するためには、ご自身の住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)で所定の手続きを行う必要があります。本記事では、失業保険の受給を検討されている方に向けて、ハローワークで具体的に何をするのか、手続きの流れ、必要書類、そして厳守すべき申請期限について、実務レベルで詳しく解説します。

失業保険(基本手当)の制度概要と目的

雇用保険制度における基本手当は、労働者が失業した場合に、その生活の安定を図るとともに、再就職を促進することを目的として支給される給付金です。一般的には「失業保険」や「失業手当」という名称で広く知られています。

失業保険の申請窓口は、退職者の現住所を管轄するハローワークとなります。退職した会社が所在する地域のハローワークではない点にご注意ください。近年では、ハローワークのオンラインサービスが拡充され、求職の申込みに関する仮登録などをインターネット上で行うことが可能となっていますが、受給資格の決定を伴う初回の手続きにおいては、原則として本人がハローワークの窓口へ直接出向く必要があります。

失業保険の受給条件と対象者

失業保険を受給するためには、雇用保険法で定められた一定の条件をすべて満たす必要があります。対象者となるための主な条件は以下の2点です。

1. 「失業の状態」にあること

雇用保険制度における「失業の状態」とは、単に仕事をしていない、あるいは収入がない状態を指すのではありません。具体的には、「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない状態」と厳密に定義されています。したがって、次のような事情に該当する方は、原則として失業保険の受給対象とはなりません。

  • 病気やケガ、妊娠、出産、育児などの理由ですぐに就職することができない方
  • 定年退職後、しばらくの間は休養しようと考えている方
  • 結婚などを機に、家事に専念することを選択した方
  • 自営業を開始した方、または自営業を開始するための準備に専念している方
  • 昼間学生など、学業に専念する方

なお、病気やケガ、妊娠、出産、育児などの理由ですぐに働けない場合については、受給期間の延長手続き(本来の1年間に加えて最大3年間延長可能)を行うことで、将来的に働ける状態に回復した際に受給することが可能となる救済措置が設けられています。

2. 雇用保険の被保険者期間を満たしていること

原則として、離職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが求められます。ただし、企業の倒産や解雇などによって離職を余儀なくされた「特定受給資格者」、または病気や有期労働契約の雇い止めなどやむを得ない理由により離職した「特定理由離職者」に該当する場合は要件が緩和され、離職の日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば受給条件を満たすと判断されます。

自己都合退職と会社都合退職の違い

失業保険の制度において、退職理由は受給要件や給付内容に極めて大きな影響を与えます。退職理由は大きく分けて「一般の離職者(自己都合退職)」と「特定受給資格者(会社都合退職)」、そして「特定理由離職者」に分類され、それぞれで給付制限期間や所定給付日数が異なります。

一般の離職者(自己都合退職)

転職や独立、自己啓発など、労働者自身の個人的な都合によって退職した方が該当します。自己都合退職の場合、受給手続きを行ってから7日間の待期期間を満了した後、原則として2ヶ月(過去5年間に3回以上の自己都合退職がある場合は3ヶ月)の「給付制限期間」が設けられます。この給付制限期間中は、失業保険は支給されません。また、所定給付日数(失業保険を受け取れる最大日数)は、雇用保険の被保険者期間に応じて90日〜150日の間で決定されます。

特定受給資格者(会社都合退職)

企業の倒産、事業所の廃止、解雇(労働者の重大な責めを負うべき理由による懲戒解雇を除く)、労働条件の著しい相違、賃金の未払い、過度な長時間労働、職場でのハラスメントなどが原因で、再就職の準備をする余裕がなく離職を余儀なくされた方が該当します。特定受給資格者の場合、7日間の待期期間を満了すれば、給付制限期間なしで直ちに失業保険の支給対象となります。さらに、所定給付日数は離職時の年齢と被保険者期間に応じて細かく設定されており、最大で330日と、自己都合退職に比べて手厚い保護が受けられます。

特定理由離職者

有期労働契約の更新を希望したにもかかわらず更新されなかった方(雇い止め)や、病気、負傷、妊娠、出産、育児、親の介護、配偶者の転勤に伴う別居の回避など、正当かつやむを得ない理由によって自己都合退職をした方が該当します。特定理由離職者と認定された場合も、特定受給資格者と同様に給付制限期間が免除されるケースが多く、所定給付日数についても特定受給資格者と同等の日数が適用される場合があります。

失業保険の給付内容と金額(基本手当日額)

失業保険として1日あたりに支給される金額を「基本手当日額」と呼びます。基本手当日額は、離職した日の直前6ヶ月間に毎月きまって支払われた賃金(賞与や臨時の手当は除きます)の合計を180で割って算出した「賃金日額」をベースに計算されます。

具体的には、算出された賃金日額のおよそ50%〜80%(離職時の年齢が60歳〜64歳の方については45%〜80%)が基本手当日額となります。この給付率は、離職前の賃金が低かった方ほど高い割合(80%に近い数字)が適用され、賃金が高かった方ほど低い割合が適用される仕組みとなっており、所得の再分配機能が働いています。

また、基本手当日額には、雇用保険の財政状況や平均給与の変動に応じて毎年見直される「上限額」と「下限額」が年齢区分ごとに設定されています。したがって、離職前の賃金がどれほど高額であったとしても、青天井で支給されるわけではなく、定められた上限額の範囲内での支給となります。

ハローワークでの手続きの流れと必要書類

失業保険を受給するためには、厳格な手続きのステップを踏む必要があります。また、手続きには法律で定められた申請期限が存在します。

申請期限について

失業保険の受給期間(基本手当を受け取ることができる期間)は、原則として「離職日の翌日から起算して1年間」と定められています。この1年の間に、所定給付日数の全日数分を受給し終える必要があります。もし手続きが遅れ、受給期間の1年を経過してしまった場合、たとえ所定給付日数が残っていたとしても、それ以降の支給は一切受けることができません。したがって、会社から離職票を受け取り次第、速やかに管轄のハローワークへ足を運び、手続きを開始することが極めて重要です。

必要書類

ハローワークで初回の手続きを行う際には、以下の書類を漏れなく準備して持参する必要があります。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、-2):退職した会社から郵送等で交付されます。
  • マイナンバーカード:お持ちでない場合は、個人番号確認書類(マイナンバーが記載された住民票など)と身元確認書類(運転免許証など)の2点が必要です。
  • 写真2枚:正面上三分身、縦3.0cm×横2.5cmの最近撮影されたもの。
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード:失業保険の振込先として指定する口座の確認に使用されます。一部のインターネット銀行などは指定できない場合があります。

手続きの流れ

ハローワークでの手続きは、以下の順序で進行します。

  1. 求職の申込みと受給資格の決定
    管轄のハローワークの窓口へ行き、「求職申込書」を記入して提出するとともに、持参した必要書類を提出します。窓口の担当者が書類の記載内容や離職理由を確認し、受給要件を満たしていると判断されれば「受給資格の決定」が行われます。この際、今後のスケジュールが記載された「雇用保険受給資格者のしおり」が交付されます。なお、事前にハローワークインターネットサービスで求職情報のオンライン仮登録を済ませておくと、窓口での手続き時間を短縮することができます。
  2. 雇用保険受給説明会への参加
    受給資格決定の際に指定された日時に開催される「雇用保険受給説明会」に必ず参加します。この説明会では、雇用保険制度の仕組み、求職活動の具体的なルール、不正受給に関する注意事項などの詳細な説明が行われます。説明会の終了時に、失業保険の受給に不可欠な「雇用保険受給資格者証」と、次回の認定日に提出する「失業認定申告書」が手渡されます。
  3. 待期期間と給付制限期間の経過
    受給資格決定の日から通算して7日間は「待期期間」と呼ばれ、離職理由を問わずすべての方について失業保険は支給されません。自己都合退職などの場合は、この待期期間を満了した翌日から、さらに2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間が開始されます。
  4. 失業の認定
    原則として4週間に1度、ハローワークが指定した「失業認定日」に必ず管轄のハローワークへ出向きます。窓口で「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」を提出し、前回の認定日から今回の認定日までの期間に「失業の状態」であったこと、および規定回数以上の求職活動実績があることの確認を受けます。原則として、1回の認定対象期間中に2回以上の求職活動実績(求人への応募、面接、ハローワークでの職業相談、指定のセミナー受講など)が必要です。
  5. 基本手当の受給
    失業の認定が無事に行われると、認定された日数分の基本手当が計算され、指定した金融機関の口座に振り込まれます。通常、認定日から約1週間程度で入金処理が完了します。以後、所定給付日数が上限に達するまで、または再就職が決定するまで、4週間に1度のペースで「求職活動の実施」と「失業の認定」のサイクルを繰り返すことになります。

失業保険を受給する際の注意点

失業保険の受給期間中は、制度の趣旨を正しく理解し、厳格なルールに従って行動する必要があります。特に以下の点には十分な注意が必要です。

  • アルバイトや内職の正確な申告
    失業認定対象期間中に、アルバイト、パートタイム、内職、あるいは知人の手伝い(無報酬のボランティアや研修を含む)を行った場合は、その労働時間や収入の有無にかかわらず、必ず「失業認定申告書」に事実を記載し、ハローワークに申告する義務があります。1日の労働時間が4時間以上の場合はその日の支給が先送りされ、4時間未満の場合は収入額に応じて基本手当が減額されるなどの調整が行われます。
  • 不正受給に対する厳格な罰則
    就労した事実を隠蔽する、求職活動実績を偽造する、自営の準備を始めているのに申告しないなど、偽りその他不正の行為によって失業保険を受給した場合、または受給しようとした場合は「不正受給」となります。不正受給が発覚すると、以後の支給が一切停止されるだけでなく、不正に受給した金額の全額返還が求められます。さらに、悪質なケースでは返還額の2倍に相当する額の納付が命じられる(いわゆる「3倍返し」)など、極めて厳しい罰則が適用されます。
  • 再就職手当の積極的な活用
    失業保険の所定給付日数を一定割合(3分の1以上かつ45日以上)残した状態で、安定した職業に早期に再就職した場合、要件を満たせば「再就職手当」という一時金を受給できる制度があります。所定給付日数を多く残して再就職するほど給付率が高く設定されているため、失業保険を満額もらい切ることを目的とするのではなく、早期の再就職を目指すことが経済的にも有利となるよう設計されています。
  • 傷病手当への切り替え制度
    ハローワークで求職の申込みを行った後に、病気やケガによって15日以上継続して就職できない状態に陥った場合は、基本手当の支給を受けることができなくなります。その代わりとして、基本手当と同額の「傷病手当」を受給できる制度が用意されています。速やかにハローワークに状況を報告し、所定の手続きを行うことが求められます。

最新情報は厚生労働省やハローワーク公式で確認してください。